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IMA コラム

冬のベネチアだより

カテゴリ: 旅行 作成日:2021年02月22日(月)

①ベニス出港

春のベネチアを訪ねたのはいつのことだったでしょうか。

クルーズ船のデッキからは青い空に赤い屋根瓦、遠くの尖塔からは鐘の音、
そして行きかうヴィポレットやゴンドラも情緒を添えてくれました。

それに引き換え冬のベネチアはどんよりとした曇り空でしんしんとした底冷えがして、
決して暮らしやすい街とは言えません。 しかし訪れる人も少ないせいか
運河の水は澄んでおり、散歩するにはうってつけかも知れません。

 

そんな午後、ふとその面影を求めて運河沿いの散策を始めました。イタリア紀行でゲーテが訪れ、
オードリー・ヘップバーンが遊び、須賀敦子が描いた運河の橋の中ほどに立ち、
水面(みなも)を眺めゴンドラに目をやりながら左岸の小さな教会風の建物へと足を運びました。

②運河

③運河とゴンドラ

そこを抜けると細い路地。

すれ違うのがやっとのような小路の両側にはレンガの壁が迫り、
2階を見上げると頭上には電飾のワイヤーがそのままに華やかな新年の名残を残していました。

黒く塗られたゴンドラは赤い布でくるまれ、春のカーニバルの出番を待っているかのようでした。

今年のカーニバルは開催されるのでしょうか。人気のない寂しいベネチアの夕暮れでした。

④路地 ⑤ベニス教会

春のにぎやかな思い出と冬のたそがれの景色を取り混ぜて私の幻想散歩は続きます。

やがて人恋しくなり賑わいを求めてロータリーに出るとそこは現実の「自由が丘駅前」。

商業施設「ラ・ヴィータ」からの特派員報告でした。

 

(風琴子)