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IMA コラム

海外文学のススメ

カテゴリ: 趣味 作成日:2011年11月25日(金)

すっかり秋も深まって肌寒い日が続きます。みなさんどんな秋をお過ごしですか?

食欲の秋・スポーツの秋・読書の秋・芸術の秋と、気候が過ごしやすい事から昔から様々な「秋」が語られています。今回は「読書の秋」についてお話したいと思います。

なぜ「読書の秋」と言われるようになったのかは様々な説があるそうですが、通例では中国の韓愈(かんゆ)という人が遺した、「燈火親しむべし」という言葉に有るようです。
言葉の意味は、「秋の夜は涼しく、読書するにはもってこい(灯火の灯りで本を読む)」というところからきているそうです。

私は本を読むのが好きで、最近は主に海外で書かれた小説を読んでいます。
自分が住んでいる場所と全く異なる地域に住んでいる人がどんな生活をしていて、どのような事を考えているのか単純に興味があるからです。その中で最近読んだ本を紹介したいと思います。

 111130 01■アリステア・マクラウド著「冬の犬」

スコットランド移民が多く住むカナダの東端の島ケープ・ブレトン島。
作者が幼い頃に住んでいたその島に暮らすある人々を主人公として、自然の厳しさ、動物との関わり、時代の変化、ケルトの伝統的な民話等をテーマとした短編集。
厳冬の中で暮らす人々が語る物語は厳しい自然環境の中で暮らす人々の確かな息づかいを感じるのですが、そこでの生活が力強く描かれています。





 
 111130 02■ジャネット ウィンターソン著「灯台守の話」

ある日孤児となった10歳の少女が盲目の灯台守に引き取られ灯台守の見習いとして暮らすようになる。
灯台守の見習いの日課として光を絶やさないという事とは別に大きな仕事として描かれるのが船乗り達に物語を語るという事。
かつて船乗り達は岬一つ一つを灯台守から語られる物語で覚えていたからだそうです。
そこで灯台守から語り継がれる物語と、見習いとして灯台で生活する少女の物語が交差していきます。

 

どちらもその場所の風景とその場所に住んでいる人々の息づかいを感じる事のできる素晴らしい本でしたが、いずれにも共通していると思ったのは物語を“時代を超えて語り継ぐ”という事についてです。歴史や経済の変化の中で廃れてしまった文化や伝統の背景には、確かにそこで暮らす人々の具体的な一人一人の生活があり、ドラマがあり、それは例え海外で描かれた物語であったとしても普遍性のあるものだと思います。物語を語るという事を通して、便利さという評価軸ではない時代を超えたものにしていく事の重要さを改めて考えました。
そういった事は少なからず設計にフィードバックできる事であるとも思いました。もし機会があれば、是非海外文学を手にとってみて下さい。

(小豆洗い)