IMA コラム
鉄筋とコンクリート 奇跡の組み合わせ
学生時代にある教授がとても熱心に語ってくれた鉄筋コンクリートにまつわるお話を紹介したいと思います。
鉄筋コンクリートとは鉄筋とコンクリート(セメントと砂利等を混ぜたもの)のことであり、私たちの事務所でも数多くの鉄筋コンクリート造建物の設計を行ってきております。
コンクリートの主成分であるセメントの歴史は古く、紀元前の頃から利用されてきましが、鉄筋コンクリートが歴史に出てきたのは19世紀後半頃で、レンガや木に比べると新参者の構造体なのです。ちなみにヨーロッパの植木職人がセメントで植木鉢を作る際、針金で補強したのが鉄筋コンクリートの最初と言われている。
そんな新参者の鉄筋コンクリートが主要な構造形式になった要因は扱いやすさもさることながら、コンクリートと鉄筋の相性の良さにあると教授はおっしゃっていました。
「もともとコンクリートは圧縮力には強いが引張力に弱い特性があり、鉄筋は引張力に強いが圧縮力を受けるとすぐに曲がってしまう。それぞれの弱点を鉄筋とコンクリート組み合わせることで相互補完しているのです。」
「通常なら異なる材料を組み合わせた場合、性質の違いで上手くいかない場合が多いのですが、鉄筋とコンクリートは熱膨張率がほぼ等しいため、組み合わせることが可能となっているのです。」
「さらに、この組み合わせは錆びやすい鉄筋をアルカリ性のセメントで覆うことになるため防錆効果が得られているのです。」「こんなにも相性の良い鉄筋コンクリートは奇跡の組み合わせであり、これを考えた人は天才です」
この話を聞く前、私にとって鉄筋とコンクリートの組み合わせは当たり前でしたが、こんなにも凄い組み合わせだと知り、鉄筋コンクリートが特別なもののように感じてしまいました。
皆さんの身の回りの当たり前の組み合わせが実は凄いものだったりするかもしれませんよ。
(ling)