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IMA コラム

Vol.07「二都物語研究会」の課外活動

カテゴリ: 都市 作成日:2015年06月15日(月)

アーバンラボVol.04の、「二つの研究会」の取り組みー2013年のステップアップに向けてー で「復興都市研究会」と「二都物語研究会」の活動を紹介し、「復興都市研究会」についてはVol.05の「避難路を兼ねた災害公営住宅」石巻日和山での一試案?でも、その後の展開を紹介しましたが、「二都物語研究会」については報告する機会がなく過ぎてしまいました。

最初のゲストメンバーとして日本ミャンマー協会の渡邉氏からのティラワプロジェクトの情報提供などをもとに議論を開始した第1回研究会が2012年9月、早や5年が経とうとしています。今回は「二都物語研究会」のその後の報告です。アーバンラボVol.04でも触れていますが、2012年3月にミャンマーの建設省視察団の来日した時、日本が戦後復興期から経済成長期に向かおうとしていた時代に相次いでスタートした、「つくば」と「多摩」の二つの新都市開発プロジェクトのあゆみがこれからのミャンマーの国土づくりの参考になるのではと、現地案内メニューの中に組み込みました。そしてその現地案内資料として作成したパンフのタイトルが『二都物語』、それを冠にして「二都物語研究会」(通称「二都研」)が誕生しました。

ミャンマーの国土づくりに役立つ息の長い技術協力を!と、長期的・広域的視点へのコダワリを持って集まった「二都研」ですから、短期的なメニューと長期的視点をどう組み合わせるかについてスタート時から議論を重ね、「実践的な国土形成シナリオづくり」に取り組むことを目指してきました。 当初から(株)URリンケージと(株)入江三宅設計事務所が事務局で、研究会は2ヶ月に1回のペースで開催していますが、2014年7月の第11回研究会で、UR都市機構+URリンケージチームと開発構想研究所+入江三宅設計事務所チームが交代当番制で各回の意見交換テーマやゲストメンバーなどを決めることを確認し、その方針で2015年4月10日の第15回まで行われてきています。

ちなみに第15回の中心テーマは「バングラディシュから見たミャンマー(日本開発構想研究所・浜利彦)」、広い視点での意見交換になるよう「二都研」スタート時からの、長期的・広域的視点へのコダワリは持続しています。J-CODE、JICA、JMBHなどいろいろな動きや情報が伝わるなか、地方州の課題に取り組むところまではいきませんが、最近の「二都研」では、中心テーマの意見交換の終わった「その他」の議題の中で2014年6月に設立したNPO法人「ふろんてぃあタウン工房」が進めている「ビクトリア山プロジェクト」の近況報告をするのが定番になっています。研究会の「課外活動」といったところでしょうか。

 

今回のアーバンラボでは、この「課外活動」=NPO法人の活動について概要を紹介します。

ミャンマー建設省視察団に「つくば」と「多摩」を案内した日から1年後の2013年3月、UR都市機構のワンダーフォーゲル同好会が発足40周年記念登山として、ミャンマーの仏教遺跡のまちバガンの西方、チン州のナマタン国立公園にあるビクトリア山(3053m)への遠征登山を実施、帰国後ワンゲルメンバーを中心にしたNPO法人の設立準備を始めます。

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山の魅力を高める環境保全活動と辺境の地での山と共に生きる村おこしを目的にしたNPO法人で、設立準備を進めながら「二都物語研究会」でも議論をしていたミャンマーの国土づくりに役に立つようにと日本のニュータウン事業のあゆみをまとめた「フロンティアまちづくり読本」を出版しました(2014年2月)。本の内表紙の裏には、「山と共に生きる辺境の村」というタイトルで、原広司の「集落の教え100」に書かれている「山の姿に似せて集落の姿をつくれ…だから山の変容に注意しなくてはならない」という丘陵地ニュータウンづくりの哲学のような言葉を載せています。出版一か月後には第2次遠征隊派遣してナマタン国立公園事務所を訪問、2014年6月16日、東京都の特定非営利活動法人として「ふろんてぃあタウン工房」が設立・スタートしました。

「フロンティアまちづくり読本」のプロローグとエピローグでは、「二都研究会」の取り組みについて紹介していますが、研究会メンバーの開発構想研究所・大場悟氏がコメントを記した、ミャンマーの貧困人口に関する図を「自然豊かな国土の均衡ある発展目指して」というタイトルで奥付ページに載せています。「人口規模が小さくて貧困率が高く産業開発を行うのが容易ではない州」に分類されたチン州にあるのがビクトリア山、山麓の貧しい村カンペレの村おこしに取り組むことの意義・必要性を、この図が後押ししています。

ボランティアによって刊行した「フロンティアまちづくり読本」は、会員の活動マニュアルであるとともに、本の収益はビクトリア山プロジェクトの活動に充てられています。関心を持たれた方は、ぜひお買い求めください。(チョッピリPR…定価1296円)「ふろんてぃあタウン工房」は今、11月の第3次遠征隊派遣に向けて、ビクトリア山を訪れる人々と山と共に生きる山麓の人々の交流を深めるツールとなる登山マップの製作を進めています。“山の魅力を高める環境保全活動”と“山と共にある観光産業の育成”の両立を目指して、目的を共有出来る団体のネットワークづくりに力を注いでいます。ビクトリア山と表裏一体で登山マップを構成している「御嶽山」での登山道整備活動や木曽路の一里塚の復元などに取り組んできた「木曾ユネスコ協会」や、ミャンマーでコミュ ニティフォレストリー制度による森づくりと森林農園づくりを目指している「ミンガラバー・ユネスコクラブ」ほか、国内各地で森づくりや森の道づくりの取り組んでいる多くの団体との連携を深め、国内外で持続的な活動を行う体制の確立を目指しています。(※ミャンマーのコミュニティフォレストリーについてはJETROアジア経済研究所・岡本郁子氏の研究レポート参照)

「二都物語研究会」での課外活動報告は、これからも続きます。

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(都市づくり研究所)