IMA コラム
法隆寺収蔵庫竣工70年 ~金堂壁画のいまと明日~
朝日新聞朝刊2022.3.30 |
3月30日の朝日新聞朝刊に「荘厳の宝、後世へ残すために」と題して、 これは去る2月26日東京有楽町「朝日ホール」にて
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1949年法隆寺金堂の火災により焼損したかろうじて焼け残った内部架構ととともに
焼損壁画12枚をそのままコンクリート造の収蔵庫に納めたもので1952年境内の一隅に竣工しました。
設計は当社創業者の入江雄太郎です。
また、現在施行されている「文化財保護法」はこの火災を契機に成立したものです。
現在の収蔵庫
講演会の冒頭は東京藝術大学有賀客員教授のご挨拶の後、法隆寺管長古谷正覚氏の基調講演、
その後美術・建築・環境の分野に分かれたリレー講演が続き、
主催した朝日新聞社長よりの閉会の辞があった充実した2時間半でした。
リレー講演の中で建築部門について立命館大学青柳憲昌先生の「壁画収蔵庫の建築理念(文化財の防災と活用)」により
収蔵庫の価値が説明され、公開を前提に焼損壁画を当時のまま3次元的に再現した建物で、
耐震上の問題もなく現代にも通用する「博物館」であるとの説明を受けました。
講演会終了後皆様にあいさつし、公開の折にはぜひ協力したい旨を述べ朝日ホールを後にしました。
収蔵庫内部の説明図(法隆寺パンフレットより)
1951年創業の当社にすれば、創業二年目に任された破格の仕事でその意気込みが随所に見られ
「モダニズムの息吹も感じられる」デザインとなっています。
当時は入江雄太郎と数名の所員によりこの記念碑的作品を仕上げ竣工させたことが
我々後に続く者の矜持となっており、 講演会には当社OBを含め4名が参加させていただきました。
数年前のこと青柳先生が収蔵庫の資料を求め当社に来所し対応した身として、
当時の写真と資料が生かされていることは誇りに思い、以来何回かのシンポジウムに参加しています。
その過程で、彰国社の「ディテール」(2021.4)には論文が上梓され、「建築士」(2022.2)月号には
インタビュー記事が掲載されました。
さらに昨年11月には法隆寺収蔵庫の特別内覧でも案内もいただきました。
終わりに先生の著作の一部を載せてこの稿のまとめとしたいと思います。
青柳先生の著作「ディテール」と「建築士」の抜粋
(広報子)