IMA コラム
「続・あさひ山展望公園物語(完結編)」―見晴らしが丘のあるまちづくり―
昨年9月のコラム「あさひ山展望公園物語―街づくりは待ちづくり―」で、朝日山を残そうと計画した公園が、20年間の歳月をかけて昨春「あさひ山展望公園」として完成し、見晴らしの新名所になったことを紹介しました。「これを機会に当初の構想『飯能・自然の回廊』を実現させてみよう、最後の仕上げはハイキングルートづくり、回廊開通までもう少しお待ちください」と書いて話を終えましたが、今回はその続編で、その後の展開について紹介します。サブタイトルを「見晴らしが丘のあるまちづくり」とし、あさひ山構想からさらに10年遡った多摩ニュータウンの山の話も加えて、「見晴らしが丘三題噺」としてご報告します。「あさひ山展望公園物語」の完結編としてお読み下さい。 |
1.電光石火の如く誕生 見晴らしが丘1号「鶴牧山」 「あさひ山展望公園」は、完成するまで20年間も待ち続けましたが、対照的に「瞬く間に出来上がった山」がある公園が多摩ニュータウンにあります。「あさひ山」と同じく近隣公園の中にあり、私にとって「見晴らしが丘」づくりの原点になった鶴牧東公園にある人工の山「鶴牧山」の話を、最初に紹介しようと思います。
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センターゾーンの早期建設が期待され、隣接する住宅地は1982年春のまちびらきを目指していましたが、膨大な造成土量を処理する盛土場所がなく、インフラ工事の進捗が懸念されていました。 「あさひ山」と同じく近隣公園の中の山ですが、こちらは人工の山、山頂からは、ふもとに拡がるタウンハウスの甍の海の向こうに、ふるさとのまち多摩ニュータウンの姿を眺めることが出来ます。 |
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多摩ニュータウンを離れて8年、飯能ビッグヒルズ(約300ha)と総称される都市再生機構(UR)施行三地区の一つ、事業着手前の飯能南台第二地区で、私は「朝日山」にめぐりあいました。昨年のコラムでは、この山を残すために天覧山―多峯主山―龍崖山―朝日山の四つの山を廻る『飯能・自然の回廊』構想をつくり、20年の歳月を経て朝日山が「あさひ山展望公園」の中に生まれ変わるまでのいきさつを紹介しました。 |
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3.遊びごころで総仕上げ 見晴らしが丘3号「燧山」 龍崖山と朝日山を結ぶ回廊ルートは、飯能ビッグヒルズの北側境界沿に計画されていますが、三地区の中で面積最大で現在も区画整理事業が施工中の大河原地区の尾根を通る龍崖山寄りのルートには鮮明な既存の山道がない個所があります。探索調査ではこの区間のルートを整備するため、道なき樹林地にはステップを切るなどし、迷わず歩けるルートづくりを目指しました。大規模施設の立地を目指して開発を進めてきた大河原地区には、急峻な地形を造成した丘陵地開発とは信じがたいような広大な大平原が出現し、工場誘致の活動が続けられています。 |
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最初の探索調査の日は雨でした。ルートの途中に大河原地区を見渡せるピークがありますが、見下ろした大平原には雨が溜まって靄がかかり、まるで尾瀬ヶ原の湿原を見るようでした。「おぜがはら」と見間違うがごとき「おおがはら(大河原)」を見下ろしたピークの標高は234.2m、尾瀬ヶ原を見下ろす燧岳(2346m)の1/10という縁に因んで、この見晴らしが丘を「燧山」と名づけました。これからこの一帯ではUR都市機構の緑地整備が行われます。整備完了後に『飯能・自然の回廊』を歩くハイカー達は、「燧山」の山頂に立ってそんな洒落心に気づいてくれるでしょうか。
(見晴らしが丘工房 囲炉夢) |