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IMA コラム

免震ことはじめ

カテゴリ: 建築デザイン 作成日:2006年11月20日(月)

061120鎌倉大仏の寺として知られる長谷の高徳院は、本堂、回廊、客殿の設計を担当した当事務所ゆかりの寺です。あまり知られていないことですが、その大仏は昭和36年(1961)に大改修が行われました。

建長4年(1452)に建造が開始され、室町時代の大津波で大仏殿が流されて以来露座となった大仏(阿弥陀如来坐像)は高さ12.3m総重量121トンの金剛坐像です。大正12年(1923)年には関東大震災を受け、頭と頸の部分にクラックが入りさらに大地震が来れば倒壊の恐れがありました。そこで1961年当時の文部省文化財保護委員会(関野克博士)より、法隆寺・法輪寺などの収蔵庫の設計を行っていた当事務所に設計の依頼がありました。

台座を補強し、関野博士の提案により台座と大仏の間にステンレス材を挟み込むことで地震の力を軽減するアイデア、すなわち『免震構造』が採用されることとなりました。これが、我が国初の免震構造です。コンクリートの上ではすべりが悪いので、ビシャン叩きの御影石の上にステンレスを敷き台座も広げました。当時の工事の内容は、今でも大仏胎内にある銘板より知ることが出来ます。
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左より:工事中の全景、台座の工事、ステンレス材

 

この精神は連綿として21世紀の現在までつながり、当社の構造設計の規範となっています。ご存じの方もいらっしゃいますが2006年竣工の表参道ヒルズにも中間免震が採用されています。また、千葉市に2009年竣工予定の集合住宅では、まだあまり例を見ない超高層免震タワーを実現しています。
秋の散策の折り、長谷の大仏を訪れたらふと思い出してください。

-風琴子-